僕の持っている、あるいは持っていた85mm
僕が現在持っているのは「SEL85F14GM」という、SONY(FEマウント)の f1.4の85mmである。 それまで僕が持っていた85mmは、Minolta(MDマウント)「Rokkor-85mmF2」 そして、「SAL85F28」というSONY(Aマウント)の85mmである。 このように3本の85mmを使い続けてきた。 そして現在は前述のとおり85mmF1.4のレンズに落ち着いている。
SEL85F14GMというレンズ。あるいはG Master
いきなりだが、僕はこの「SEL85F14GM」というレンズが大好きだ。 それまでいわゆるオールドレンズであるロッコールの85mmを使っていた僕が 85mmのレンズに求めていたのは、なだらかなボケとメリハリである。
かつては85mmと言えばミノルタの名が上がるほど、 ミノルタは85mmに対する並々ならぬ情熱をかけていた。 そしてマニアの中では伝説的な「MINOLTA AF85mm F1.4G(D) Limited」を生み出す。 その後、MINOLTAはカメラ事業をSONYに譲渡するのだが、引き受けたSONYも引き続き良質な85mmを作り続けていく。そこから数年、SONYのフルサイズミラーレスα7が二世代目に到達した後、MINOLTAのGレンズを超える「G Master」シリーズの発表がされる。そして満を持して発売された「G Master」の最初のレンズがこの85mmなのである。それだけSONYにとっても思い入れのあるレンズなのである。
ちなみにSONYは新マウント(Eマウント)のレンズを急ピッチで揃えていくのだが、限られているリソースの中で実は85mmレンズはf1.4とf1.8の二つである。ちなみに無印である「SEL85F18」は先述の「G Master」の1/4の値段で相当にいい写りがするらしい。発売してしばらくたった後もソニーストアでも二か月待ちと言われたことを覚えている。
ではなぜ、そんな4倍もの値段をする「G Master」レンズを手に取ったかというと、他のレンズには代えがたい描写があるからである。言葉で説明するのは正直難しい。しかも今どきのポートレートよりあっさりと写る気がするので万人受けするのかは微妙だ。
僕がこのレンズを欲しいと思わせたのがポートレート写真で有名な”魚住誠一”氏の影響がある。
氏の透き通るようなポートレートに魅了され、一度でいいから同じ機材を手にしてみたいと考えたのである。
また決め手になったのは、SONYの「G Master」の特集記事で、この85mmは過去のミノルタのレンズを徹底的に意識していることが言及されていたからである。(記事中に何度もミノルタ85mmについて言及されている)
ロッコール85mmに虜になった僕が最も重視していたなだらかなボケが期待できたからである。 「G Master」の設計思想や魅力を開発陣が解説 FE 85mm F1.4 GM編|α Universe | デジタル一眼カメラα(アルファ) | ソニー
85mmとスナップ
インスタグラマー・フォトグラファーとして有名な保井さんが運営しているサイト "RECO"の「単焦点レンズの話をしよう」でも焦点距離約85mm(35mm換算・APS-Cでは56mm)で抜き取るスナップ写真が紹介されている。ちなみに保井さんの写真の半分はこの56mm(換算約85mm)で撮られているそう。
「単焦点レンズについて語る時がきた」 | RECO
ヨドバシカメラのSEL85F14GMでも素敵なスナップ写真が紹介されている。
SONY(ソニー) SEL85F14GM FE 85mm F1.4 GM 実写レビュー | フォトヨドバシ
以下、私が撮影した85mmスナップ写真を紹介していく。
人の後ろ姿をさり気なく撮った、ポートレートよりのスナップ写真が楽しい。ここからはもっとスナップらしい写真を。個人的にはスナップは縦写真も好きで、特に85mmは縦に撮ると一層部分的に切り取る感じが気に入っている。
普通神社などの写真も説明的になりがちだが、人間の目とはちょっと違った抜き取り方で、逆に想像力を掻き立てる写真が撮れる。(もっともらしく書いてるが、大抵なにも考えずに、「いいなぁ」とか言いながら撮ってる)特に光の指向性を意識するともっと楽しくなる。
また85mmのスナップは、バキバキにすることもできる。遠くの景色を圧縮的に見せることができるので、普通の写真より迫力がある。これはわかりやすい長時間露光の写真
なぜだか帰りたくなるような写真。後ろ姿と光があれば、とりあえず最強。
85mmの王道、ポートレート
85mmのポートレートの利点は、圧縮効果による背景のボケ、それにより人が自ずと浮かび出ることにある。この時、写真が与える影響はヒト:背景=8:2であるだろう。 (ちなみにヒト:背景=4:6である35mmポートレートにも最近興味が湧いている) 何でもかんでもボカしてしまえ!という姿勢は乱暴だが、しかし85mmポートレートにおいては、このボカしてしまえ!の姿勢が大切になってくる気がする。
85mmf1.4の明るいレンズなら、暗いとこもお手の物。ここは、別府市に所在する杉乃井ホテルのイルミネーション。
年中イルミネーションやっているので撮りたい放題。
雨を止めてみるポートレートも。暗いところに後ろからフラッシュを炊くと、このように雨粒を空中に止めることができる。
α7Ⅲは暗所にも強いので、かなりラクチンに夜間ポートレートができる。 このときも瞳AFが使えた。
FE85mmf1.4GMが届いた日に初めて撮った写真。ちなみにこのときはα7R(初代)だったのでAFは遅かった。
やはりf1.4の繊細なピントはそれなりに新しいカメラを使うのがいいかもしれない。
王道の日の丸構図。あんまり85mmのポートレートでは真ん中に置くことはないけれど、
上手くハマった時には”いい!”と思える写真が撮れる。